

SEIKOが世界に先駆けて商品化した、初代クオーツウオッチの商品名です。
当時の一般的な機械式腕時計の精度は日差±15~20秒で、持続時間は平均30~40時間程度でした。腕時計にはある程度の誤差は仕方のないものと考えられ、常にぜんまいを巻いて使用されていました。そんな中、1969年12月25日、SEIKOが世界に先駆けてクオーツ式腕時計アストロンを発売しました。アストロンは、日差±0.2秒という機械式の100倍以上の超高精度と、電池で駆動することから1年以上という長い持続時間を同時に実現しました。この画期的な腕時計の誕生は世界中で大反響を呼び、以後SEIKOはクオーツウオッチとともに世界のトップブランドとして大躍進を遂げることとなりました。



東京で開催された国際的な競技大会の公式計時に取り組むことが決まるとともに、諏訪精工舎の技術陣は、競技用の携帯用水晶時計の開発にとりかかりました。1958年にクオーツ式親時計(放送局用時報装置)が商品化されましたが、まだロッカーほどの巨大なサイズでした。これを競技中に人が片手で持ち運んで計測できるサイズに小型化することに成功し、1963年にSEIKOの携帯用水晶時計が東京で開催された国際的な競技大会の長距離レース用の計時機器として採用され、翌年クリスタルクロノメーター QC-951として市販されました。
これをさらに腕時計サイズにするにあたり、「水晶振動子」「モーター」「IC」それぞれの分野で革新的な技術向上を果たし、ついにSEIKOは60年代の最後を飾る大きな成果に辿り着いたのです。



クオーツの技術はウオッチを越えて携帯電話、コンピュータ、など、工業ジャンルにおけるスタンダードとなり、またICの技術は最先端の画像処理技術でも活用されています。
その貢献度の高さから、2004年にはIEEEマイルストーン(IEEEが電気、電子技術やその関連分野における歴史的偉業に対して認定する賞。認定には、25年以上に渡って世の中で高く評価を受けてきたことが条件)に認定されました。


SEIKOはたくさんの「世界初」を生みだしてきましたが、その歴史はクオーツアストロンから始まりました。
そして現在、SEIKOは「メカ、クオーツ、キネティック、スプリングドライヴ、といったあらゆる種類のウオッチの技能を有する世界で唯一のマニュファクチュール」となりました。
多種多様な技術の結びつきのなかで、クオーツが果たした役割は最も重要なもののひとつです。