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グランドセイコーは、伝統を継承するとともに常に進化を遂げています。それは実用時計の最高峰を目指すブランドとしての宿命でもあります。ここでは、2009年に、41年振りにグランドセイコーのために新規開発された自動巻10振動ムーブメント「9S85」の魅力をご紹介していきます。

グランドセイコーは、その存在自体、一見、矛盾する思想を持っています。つまり、常に変わらない“伝統”と、常に変わり続けようとする“進化”。しかし、その両方を備えていることこそ、グランドセイコーがグランドセイコーたる所以なのです。つまり、正確で、見やすく、使いやすく、長く使い続けられるという実用時計としての伝統を守り続けながら、世界で最先端の開発力と技術力を武器に、常に進歩し続けようとすることこそが、グランドセイコーに課せられた宿命と言えるでしょう。
それは、一見、両極端に見えますが、その軸は常に「世界最高峰の実用時計」から乖離することはありません。機能、デザイン、ディテールの作りこみにいたるまで、グランドセイコーは他の時計とは一線を画す確固たる個性を継承し、どのモデルにも活かし続けています。

高振動化により外乱の影響を受けにくくなり、より安定した高精度を実現する。時計理論上は分かっていても、実際に製造するのは困難を極めます。高振動時計を実用上十分な時間持続させるために必要な大きなトルク。耐久性の維持。これらの課題をクリアするためには、主要部品の素材開発や、部品品質のより一層の向上が必要でした。

セイコーは動力ぜんまいを50年以上にわたって自社で開発、製造し続けてきました。その経験をもとに、東北大学 金属材料研究所の指導のもと約6年の歳月を経て新素材を開発しました。
この新素材の動力ぜんまいは、従来よりばね力を向上させており、動力ぜんまいの形状も改良することによって、8振動と比較して約1.5倍のトルクが必要とされる10振動を実現しながら、最大巻上時約55時間持続も実現しています。

機械式時計の精度の要であるひげぜんまいも、50年以上にわたって開発、製造し続けることにより培った経験をもとに、財団法人 電気磁気材料研究所との共同開発によって、約5年の歳月をかけて開発した新素材を採用。これは従来の素材に対して耐衝撃性、耐磁性を向上させ、日常お使いいただく中でより安定した高精度を確保します。

毎秒10振動へと高振動化するには、耐久性の確保が鍵となります。最先端の製造技術により脱進機(がんぎ車、アンクル)を製造。部品の寸法精度の向上、部品表面の平滑さの向上、部品の軽量化の実現に加え、がんぎ車の形状を潤滑油を保持しやすいように工夫することにより、毎秒10振動の高速振動でありながら従来と同等の耐久性を実現しています。

グランドセイコーは1960年代にも自動巻の61GS、手巻の45GSそして女性用の19GSと10振動モデルを開発して、世界最高レベルの高精度を追求してきました。41年振りの新開発10振動ムーブメント9S85を搭載したハイビート36000は、過去のハイビートの復活ではありません。実用時計の最高峰を目指すという変わらぬ志を内に秘め、最先端の技術と開発者たちの創意と情熱により生まれた、現代のハイビート36000です。